やっとできた

日本ペインクリニック学会で、「慢性疼痛に対するデュロテップMTパッチの有効性と問題点」という題で、22例の患者さんのデータを元に発表します。

ずっと、データの羅列だけを眺めているだけで、どういうまとめかたをしようか、どこに焦点をあてようかと、漠然と思うだけで、何時間かまとまった時間も作れないので、なかなか考えがまとまりませんでした。

まず、どんな慢性疼痛の患者さんに使ったか、患者さんの背景を出して、それから結果では有効性を示して、副作用を示して、22例の中で、中止した6症例について、検討して……

いい薬だけど、たくさん使っているうちに、やっぱりこういう注意が必要、こういうところは問題だ、というところが浮かび上がってきます。

いわゆる「慢性疼痛」という痛み疾患の、スタンダードな治療をしたあとに、追加で麻薬を使うか、麻薬を使いながら、慢性疼痛の治療を平行して行い、効果が得られるに従って、麻薬を減量するか、というやり方のどちらかが大事だと考えて、そこを強調するようにしました。

「慢性疼痛」という痛みの病態は、完全に痛みがとれることはないことを患者さんによく説明して、痛みの治療の目標を提示することも大事かなぁと思います。

学会で発表するような機会があると、プレゼンテーションのために、結果をまとめて、考察を加えていくので、そういう作業の過程で、問題点がクリアになってきて、頭の中の霧がはれるような感じがしてきます。

できあがったときには、達成感と充実感ですごく嬉しくて「ばんざ~い」と言いたい気分でした。

18:00ころの新幹線で京都に行って来ます。

カテゴリー: 学会・研究会, 慢性疼痛 — admin 4:13 PM  コメント (0)

帯状疱疹後神経痛の治療薬

帯状疱疹後神経痛は、神経障害性疼痛の一種で、いったんできあがってしまうと、治療するのはとても難しい痛みです。

神経が障害されて脊髄に痛みの信号がたえまなく伝わると、脊髄の痛みの伝達経路や伝達様式が変化してしまい、通常の鎮痛薬では痛みがとれない状態になってしまいます。

痛みを感じる原因が脊髄や脳にあるので、帯状疱疹後神経痛の治療薬は抗うつ薬や抗てんかん薬、抗不安薬などのように、中枢に作用する薬が使われます。

3年ほど前に治験を行っていたプレガバリンが、やっと厚労省で帯状疱疹後神経痛治療薬として承認されることになりました。

この治験に参加してくださったある患者さんは、長年いろいろな治療を受けてきたが、この薬が一番効果を感じるとおっしゃっていました。

この薬をもってしても、完璧に痛みをとることはできませんが、今までよりはずいぶんらくな状態を作ることはできると思います。

帯状疱疹後神経痛に悩む患者さんにとっては朗報です。

カテゴリー: 帯状疱疹, 慢性疼痛 — admin 6:55 PM  コメント (0)

信じられない使用条件

フェンタニルという麻薬を含んだ、貼り薬(デュロテップパッチ)が「慢性疼痛」つまり、良性の疾患の痛みにも使えるようになったことは、先日お話しました。

読売新聞に紹介されていたこともあって、患者さんたちの意識も高く、今までリン酸コデインを使っていた人たちの中で、デュロテップパッチのほうが好ましい方は、少しずつデュロテップパッチに変更しています。

昨日、初診で見えた帯状疱疹の急性期の患者さんに、どの鎮痛薬でも痛みが取れないというので、さっそくデュロテップパッチを処方しようとしました。

ところが、そういう処方の仕方はできないのです。

デュロテップパッチを慢性疼痛に処方するときの条件として、「今まで使っていたオピオイドからの変更であること」という一文がついています。

オピオイドとは、麻薬の総称で、リン酸コデインや、モルヒネなどを指します。

リン酸コデインやモルヒネが、副作用が強いから、フェンタニルを使いたいのです。

フェンタニール製剤であるデュロテップパッチのほうがずっと使いやすくていい薬なのに、わざわざ副作用のある他の麻薬を使ってからしか処方できないことになります。

患者さんと処方医師と取り交わす確認書にも「他の麻薬からの変更である」という文章が入っているので、そこにサインする以上、数日でも他の麻薬を使ってからでないと不正になります。事情を説明して、やむなくリン酸コデインを処方しました。

次に処方するときにデュロテップパッチに変更するにしても、何日間かは患者さんを便秘や嘔気といったリン酸コデインの副作用に苦しめることになります。副作用がつらくて、中止してしまえば、激痛に耐えなければなりません。

他の麻薬からの変更として使うという条件が入った理由は、「安全に使用するために」ということらしいのですが、とんでもない話です。

2年前に治験を行ったときの研究のデザインが、「他の麻薬を使用していて鎮痛効果を得ていた人」に使用して、効果と副作用の程度の差を見るというものだったので、このような条件が入ったのでしょう。

臨床のことを知らない役人が決めたに違いありません。

また、そのような条件がつくことが、現実的には矛盾していることを指摘できなかった製薬会社にも問題があると思います。その条件に対して、徹底的に対抗できなかったのは、製薬会社の人たちも、臨床の現場をよく把握してないということではないでしょうか。

せっかく使いやすい薬がでてきたというのに、まったく腹が立ちます。 

 

 

 

 

 

)ヤンセンファーマ

カテゴリー: 医療一般, 心にうかぶこと, 慢性疼痛 — admin 9:28 PM  コメント (0)

慢性疼痛にデュロテップパッチ使えます

2006年から2007年にかけて、うちでも治験をやっていた、麻薬性鎮痛薬フェンタニルのパッチ製剤(デュロテップパッチ)が2年間の審査の末に、ようやく1月20日に保険適応としての承認がおりました。

デュロテップパッチは、リン酸コデインより効果が高く、また比較的副作用が少なく、皮膚に薬の含まれたシールをはるだけで3日間効果が持続するので使いやすい製剤です。

製造販売しているヤンセンファーマから先週知らせを受けて、私の麻薬施用者番号、医師免許の番号など登録し、処方上の注意や約束事の講習をネット上で受け、テストを受けて、今日やっと登録確認の書類を受け取り、この薬を処方ができる状態が整いました。

保険適応としての承認はすんでいるのに、わたしの処方医としての登録が間にあわず、先週自費で処方を希望されたた方もありました。明日から、保険で処方箋をだすことができます。

この薬のおかげで、だいぶらくになる患者さんがいらっしゃるだろうなぁと思っています。

カテゴリー: お知らせ, 慢性疼痛 — admin 4:27 PM  コメント (1)