信じられない使用条件

フェンタニルという麻薬を含んだ、貼り薬(デュロテップパッチ)が「慢性疼痛」つまり、良性の疾患の痛みにも使えるようになったことは、先日お話しました。

読売新聞に紹介されていたこともあって、患者さんたちの意識も高く、今までリン酸コデインを使っていた人たちの中で、デュロテップパッチのほうが好ましい方は、少しずつデュロテップパッチに変更しています。

昨日、初診で見えた帯状疱疹の急性期の患者さんに、どの鎮痛薬でも痛みが取れないというので、さっそくデュロテップパッチを処方しようとしました。

ところが、そういう処方の仕方はできないのです。

デュロテップパッチを慢性疼痛に処方するときの条件として、「今まで使っていたオピオイドからの変更であること」という一文がついています。

オピオイドとは、麻薬の総称で、リン酸コデインや、モルヒネなどを指します。

リン酸コデインやモルヒネが、副作用が強いから、フェンタニルを使いたいのです。

フェンタニール製剤であるデュロテップパッチのほうがずっと使いやすくていい薬なのに、わざわざ副作用のある他の麻薬を使ってからしか処方できないことになります。

患者さんと処方医師と取り交わす確認書にも「他の麻薬からの変更である」という文章が入っているので、そこにサインする以上、数日でも他の麻薬を使ってからでないと不正になります。事情を説明して、やむなくリン酸コデインを処方しました。

次に処方するときにデュロテップパッチに変更するにしても、何日間かは患者さんを便秘や嘔気といったリン酸コデインの副作用に苦しめることになります。副作用がつらくて、中止してしまえば、激痛に耐えなければなりません。

他の麻薬からの変更として使うという条件が入った理由は、「安全に使用するために」ということらしいのですが、とんでもない話です。

2年前に治験を行ったときの研究のデザインが、「他の麻薬を使用していて鎮痛効果を得ていた人」に使用して、効果と副作用の程度の差を見るというものだったので、このような条件が入ったのでしょう。

臨床のことを知らない役人が決めたに違いありません。

また、そのような条件がつくことが、現実的には矛盾していることを指摘できなかった製薬会社にも問題があると思います。その条件に対して、徹底的に対抗できなかったのは、製薬会社の人たちも、臨床の現場をよく把握してないということではないでしょうか。

せっかく使いやすい薬がでてきたというのに、まったく腹が立ちます。 

 

 

 

 

 

)ヤンセンファーマ

カテゴリー: 医療一般, 心にうかぶこと, 慢性疼痛 — admin 9:28 PM  コメント (0)