片側顔面痙攣

70才の女性、Sさんは10年まえより片側顔面痙攣が発症しています。

お店をしていて、お客様と応対しているときに、特に目のまわりの痙攣がひどくなり、最近ではほとんど目をつぶった状態になるので、お客様にいつもそのことを指摘されて仕事をするのが気が重いとおっしゃっていました。

3週間前に私の外来にみえて、ボトックスの注射で治すことができることを話しました。ボトックスの利点と欠点、薬の作用、費用などを説明して、治療を受けたかったらいつでもどうぞと言ってその日の診療は終わりました。

翌日、電話でボトックスの治療の申し込みがあったので、すぐに治療を行いました。

ボトックス治療のウェブでの講習や、実地での研修を何回か受けて、治療の許可証ももらっていますが、実際の患者さんに使うのは初めてでした。

手技的には、いつも行っている神経ブロックよりずっと簡単ですが、薬の取り扱いに注意が必要です。温度が上がらないように、シリンジや溶かす生理食塩水や局所麻酔薬を冷やしておいたり、薬を溶かしてシリンジに用意した後は、氷を入れたトレイの上において、薬効が下がらないように気を遣いました。

ボトックスが効き過ぎて起こる兎眼の副作用を避けるために、使用量は少し少な目にして、2週後にもし効果が足りなければ、追加して補正するという段取りにしました。

2週間目の今日、マイクでSさんを呼ぶときにドキドキしました。

Sさんは、ニコニコして診察室に入ってこられて、「こんなことなら、早く決心してやればよかった」ととても満足気な表情でした。両目があいていて、実はとても美人だったことがわかりました。

たぶん4ヵ月くらいたつと、また顔面痙攣は戻ってくることになりますが、ご本人によると、これだけらくになると、費用のことや、繰り返し治療が必要なことはあまり問題にならないということでした。

少し少なめに使ったのですが、ボトックスを打った側が、ちょっと瞬きが遅い感じがありました。もう少し多かったら、瞼が閉じにくくなっていたかもしれません。

よかった。うまくいって、よかった。

Sさんの笑顔をみて、ほんとに嬉しくなりました。

カテゴリー: ボトックス — admin 11:13 PM  コメント (0)