顔面神経麻痺-血流の途絶えた神経に酸素と栄養を-

最近、私のクリニックに顔面神経麻痺の患者さんの受診が増えています。

顔面神経麻痺は、中枢性と末梢性があって、中枢性は脳腫瘍や脳出血など脳に何か病変があっておこるもので、ペインクリニックでの治療対象になるのは、末梢性顔面神経麻痺です。

顔面神経麻痺は、中国伝統医学的には、その発症に風邪(ふうじゃ)や寒邪(かんじゃ)が関係していると言われています。つまり、寒いときや冷えたとき温度 差の大きな状態で発症しやすい病気です。最近は冷房が広く普及しているので夏でも発症しますが、やはり圧倒的に冬に多い病気です。

今までも私の所に顔面神経麻痺の患者さんはみえていましたが、発症から何ヶ月、何年と時間がたっている方が、後遺症がなんとかならないかといって受診される場合がほとんどでした。

最近はインターネットが普及しているおかげか、患者さんご自身が発症早期に治療法を調べてペインクリニックに来られるケースが増えています。

顔面神経麻痺の原因は、顔面神経に浮腫が起こり、骨性の顔面神経管の中で神経が締めつけられて血流が悪くなって顔面神経の働きが悪くなったために起こるも のです。つまり神経の循環障害が原因なので、細い血管まで強制的に開く働きのある星状神経節ブロックは理にかなった治療法です。

血流の途絶えた状態が長く続くと、そのうち浮腫がとれて血流が再開したとしても、神経そのものがだめになって元にもどらなくなってしまいます。
神経の働きが保たれているうちに、できるだけ早く血流を改善して、酸素や栄養を送り込むことが、後遺症を残さず顔面神経麻痺を治すためには大切です。

病気はなんでも、かかってすぐに治療ができれば治りがよいのはあたりまえですが、特に神経は時間との勝負です。

インターネットが普及したおかげで、以前よりは早い段階で星状神経節ブロックの治療を開始するケースが増えているので、よかったなぁとしみじみ思っているところです。