「星状神経節ブロック」カテゴリーアーカイブ

肩こり

1ヶ月ほど前から、忙しさとストレスで肩こりがひどい状態が続いていました。

頭がぐ~っと重くなって、あぁ、つらいなぁという感じです。

忙しいということは、仕事の時間が長くなり、平行してパソコンに向かっている時間も長くなり、運動する時間がとれなくなるので肩こりはひどくなる一方です。

まず、手軽に、葛根湯を服用しました。ちょっとらくかなという感じです。

湿布をはったり、置き鍼を貼ったり、自分でできることを続けていました。これもちょっといいかなという感じです。

うちのドクターにトリガーポイント注射をしてもらいました。これはよく効きます。数時間はらくになりました。

忙しさや、ストレスという原因がなくなれば、このくらいの治療でじゅうぶんかもしれません。

でも、日々の仕事やストレスが続いているときは、肩こりはだんだんひどくなり、セルフ治療ではなかなかとれなくなってしまいます。

こういうときは、星状神経節ブロックに限ります。

早めに午前診療が終了した日に、さくらい先生に左の星状神経節ブロックをしてもらいました。注射して5分くらいすると、左の目の奥や、鼻の奥が、ドックンドックンと脈打つような感じがしてきました。まさに血流が増えているという感じです。

30分でおきあがってみると、肩はすっかりらくになっていました。さすがによく効きます。

来週も時間をみつけて、今度は右の星状神経節ブロックをしてもらおうと思っています。

頭痛学会に行って来ました

櫻井先生に診療をお願いして、頭痛学会に行って来ました。

今年は会場が新宿の京王プラザだったので、午前は頭痛学会、午後はクリニックに戻って診療、夕方また会場に戻ってナイトセッションに参加、と時間を有効に使うことができました。

頭痛学会は神経内科や脳神経外科(内科)の医師が中心です。治療法方は薬物療法についてのディスカッションがほとんどです。

緊張型頭痛、また日常生活に支障をきたす片頭痛の治療はペインクリニックの治療がとても有効です。しかし、頭痛にペインクリニックの治療が有効であることを内科医にほとんど認知されていません。

東京で開かれる頭痛の研究会や講演会などに参加して、頭痛にはペインクリニックの治療も有効ですよと言っても、内科医にはなかなか理解してもらえません。

麻酔科の医師にとって、片頭痛治療に神経ブロックの治療が有効であるということは、教科書に書いてあるほどのあまりにも当たり前のことなのですけれどね。

ペインクリニックの治療が有効であることを、片頭痛に悩んでいる患者さんたちに、わたしたちが直接発信するしかないんだろうなぁと思っているこのごろです。

星状神経節ブロック後の皮膚温の変化

交感神経は血管を閉める働きをしているので、交感神経ブロックすると血管が開きます。

そのため、交感神経の中継地点である星状神経節をブロックすると皮膚温が上昇します。

昨日、左の星状神経節ブロックをした患者さんが、30分の安静時間終了後に
「みてください。こんなに温かくなってます」
と手を出されました。

両手を握ってみると、右手は冷たくて、左手はすごく温かくなっています。
すぐに皮膚温を測ってみました。

右手掌:28.6℃
左手掌:33.5℃

その方は、5℃も差がありました。

星状神経節ブロックで皮膚温に左右差がでるのはあたりまえの反応で、たいてい2℃~3℃は上昇します。
元の皮膚温が低いと差が大きくなるのだと思います。

皮膚温の上昇はたいてい数時間以上続きます。
中には「1週間経っても、まだブロックした側が温かいです」という方もいます。

それから、交感神経は汗を出す働きをしているので、星状神経節ブロック後は汗がとまって、皮膚がサラサラになります。
さきほどの方も、左手は冷たく湿っていて、右手は温かくサラサラでした。

顔面神経麻痺-血流の途絶えた神経に酸素と栄養を-

最近、私のクリニックに顔面神経麻痺の患者さんの受診が増えています。

顔面神経麻痺は、中枢性と末梢性があって、中枢性は脳腫瘍や脳出血など脳に何か病変があっておこるもので、ペインクリニックでの治療対象になるのは、末梢性顔面神経麻痺です。

顔面神経麻痺は、中国伝統医学的には、その発症に風邪(ふうじゃ)や寒邪(かんじゃ)が関係していると言われています。つまり、寒いときや冷えたとき温度 差の大きな状態で発症しやすい病気です。最近は冷房が広く普及しているので夏でも発症しますが、やはり圧倒的に冬に多い病気です。

今までも私の所に顔面神経麻痺の患者さんはみえていましたが、発症から何ヶ月、何年と時間がたっている方が、後遺症がなんとかならないかといって受診される場合がほとんどでした。

最近はインターネットが普及しているおかげか、患者さんご自身が発症早期に治療法を調べてペインクリニックに来られるケースが増えています。

顔面神経麻痺の原因は、顔面神経に浮腫が起こり、骨性の顔面神経管の中で神経が締めつけられて血流が悪くなって顔面神経の働きが悪くなったために起こるも のです。つまり神経の循環障害が原因なので、細い血管まで強制的に開く働きのある星状神経節ブロックは理にかなった治療法です。

血流の途絶えた状態が長く続くと、そのうち浮腫がとれて血流が再開したとしても、神経そのものがだめになって元にもどらなくなってしまいます。
神経の働きが保たれているうちに、できるだけ早く血流を改善して、酸素や栄養を送り込むことが、後遺症を残さず顔面神経麻痺を治すためには大切です。

病気はなんでも、かかってすぐに治療ができれば治りがよいのはあたりまえですが、特に神経は時間との勝負です。

インターネットが普及したおかげで、以前よりは早い段階で星状神経節ブロックの治療を開始するケースが増えているので、よかったなぁとしみじみ思っているところです。

急性痛こそペインクリニックで

1週間くらい前に、私は仕事中に右の手首をひねったり力を入れたりした時に痛みを感じるようになりました。

料理をするとき包丁で人参が切れなくなり、重い鍋を持てなくなってしまいました。それ以外の日常の場面でも、車のハンドルを回すとき、小さな口紅を回す時にも痛みを感じるようになっていました。

右手の腱鞘炎のようです。注入時にかなり力がいる星状神経節ブロックを多数行っている私にとってはいわば職業病のようなものです。
低周波の治療をやってみましたが、まったく変化がありません。このままの状態だと仕事に差し支えると思って、すぐに星状神経節ブロックを受けに行ってきました。

星状神経節ブロックをしてもらった直後は特に変化も感じませんでした。治療の翌日の診療は痛みのでる角度をさけるようにして慎重に手を使ってなんとか仕 事をすることができました。そして星状神経節ブロックをうけて2日後にはまったく痛みがなく、右手を意識しないで仕事をすることができるようになりまし た。もうそれ以来痛みはでていません。

ペインクリニックの治療になじみのない方だったら、腱鞘炎くらいで星状神経節ブロックを受けようとは思われないかもしれませんね。
確かに、痛み止めをのんで、整形で電気治療を受けて、1ヶ月くらいかかれば治るかもしれません。

それでも治らないときに、何ヶ月もたってだんだん悪くなってから、他に治療法はないかしらと調べてペインクリニックにたどり着くということが多いのでは ないでしょうか。仕事に差し支えのない部位の痛みだったら、多少の痛みには目をつぶって、そのまま「仕方ない」と放置してしまうかもしれません。

急性期に神経ブロックで治療をすると、すぐに治ります。痛みが長引いてから治療を開始すると神経ブロックの回数も多く必要です。すぐに治る快適さを知っているので、私はすぐに星状神経節ブロックを受けに行きます。
「なかなかとれない痛みにはペインクリニックが有効」と思われていることが多いですが、実は、急性期の痛みこそ、神経ブロックの効果を感じられるものだと思います。

と書きながら、星状神経節ブロックの効果に一番驚いているのは私自身です。まさか一回で手首の痛みがなくなるとは思っていませんでした。2-3回は治療が必要かなと思っていましたから。
すぐに治ってよかったです・・・。右手に力が入れられなくなったらどうしよう、とほんとに心配していました。