天気と痛み(痛みのメカニズム)

例年なら、さわやかな青空の広がるこの季節ですが、ここしばらく思いがけないほど寒い日が続いていますね。クリーニングしたセーターを出して、暖房までつけています。

寒くなったり、雨が降ったりすると、痛みは強くなることが多いようです。

気圧の変化や気温の変化と痛みの関係を調べた動物実験では、あきらかな因果関係は示されていませんが、経験的には、確かに寒さや気圧の変化、湿度は痛みを増強させると思います。

慢性の痛みの代表である「帯状疱疹後の神経痛」は、もうすぐ台風が接近する、これから雨が降る、というときには痛みが強くなります。
「『痛い痛い』と言っていたら晴れていたのに急に雨が降ってきて、まるで天気予報みたいです」という言葉もよく聞かれます。

この1週間くらいの異例の寒さの中、診察室をしながら感じることは、寒さや湿度は痛みの閾値に影響するのだろうということです。

治療を始めたばかりで強い痛みが続いている時は、天気がよくても悪くても痛みの強さはほとんど変わりません。
中等度の痛みになると、気温が下がると痛みが強くなり快晴になると痛みが軽くなります。
軽症の痛みになると、雨が降っても痛みが強くなることはありません。

治療の経過にもあてはまります。

最初は天候には影響されずに一日中痛みがあるけれど、治療をしていくうちに天気によって時々つらい日があるという状態になっていきます。
そして、痛みが軽くなっていくと雨が降っても寒くてもほとんど影響をうけなくなります。
痛みが完全になくならなくても、そこまでいけば治療は終わりです。

五月晴れが待ち遠しいです。