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麻酔科学会に行ってきました

5月26日から28日まで博多で開かれた日本麻酔科学会に参加してきました。

専門医制度が変わるということで、講習を聞いて単位を取得しなければならず、朝から夕方まで、びっしりとスケジュールに追われる学会となりました。

会場に入るのに、長蛇の列ができたり、会場間の移動のシャトルバスに乗るのに30分も並んだりと、いつもより消耗してしまうようなたいへんな学会でした。

それでも、最新の情報や知識を効率よく得られる学会は、とても新鮮で刺激になります。

麻酔科学会は、たいてい本部のある神戸のポートピアホテルで開かれるのですが、数年ごとに、東京や福岡、北海道などで開かれています。

ひさしぶりに来た博多は、とても魅力的でした。

大都市なのに、こじんまりしていて、駅の周辺から3ブロックも離れると喧騒はなくなり、2キロも離れると海がみえます。新鮮なお魚がたくさんで、おいしいものがいただけるのは、学会に行くもうひとつの楽しみです。

 

進化する筋弛緩薬

Nippon Neuromuscular Meeting という神経筋作動薬についての会議に出席してきました。

土曜の夕方にもかかわらず、日本中から、600名近くの麻酔科医が集まりました。

全身麻酔をするときに、大切な3つの柱があります。

1.痛みをとる

2.意識をとる

3.不動化する(動かないようにする)

この中で、3番目は、患者さんを動かないようにして、外科医に良好な術野を提供し、安全な手術ができるようにするために必要な要素です。そのために、麻酔中には、筋肉を弛緩させる筋弛緩薬(きんちかんやく)という薬を使います(注:使わなくてすむ手術もあります)。

筋弛緩薬は、すぐに効く、しっかり効く、安全に使える、必要なくなったらリバース(作用を拮抗)することができる、リバース後に再び筋弛緩作用が戻ってこない、など大事な条件があります。

私が医者になりたてのころは、そのすべてがそろっているものはなく、少しずつ改良されながら、良い薬が作られてきました。

そして、今は、ロクロニウム(商品名エスラックス)、リバースにはスガマデクス(商品名ブリディオン)という時代です。私にとっては、5世代目の筋弛緩薬です。

世界で使用されているこの薬の半分が日本で使われているのだそうで、これから世界中に広まっていくことになるのでしょう。

この10年近くは、ペインクリニックだけを仕事としていますが、わたしのアイデンティティは麻酔科医である、と強く意識した会議でした。